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オープンウォータースイミング

【OWS競技 スタートダッシュ】オープンウォータースイミング競技大会のスタートダッシュ方法の違いを知る

オープンウォータースイミング競技大会。

初心者、上級者関係なく自己ベストを出したいというのは当然の心理です。ただ立場によってはスタートの仕方を調整する必要があります。

今回はスタートの仕方についてまとめてみました。現役ライフセーバーの榎本さんにスタートダッシュ方法について監修していただいております。

オープンウォータースイミング競技のスタートの種類

水中の競技であれば必ず入水を伴います。競技開始時点から入水している競技もあれば、入水も技の一つである競技も。今回はオープンウォータースイミングのスタート時の注意点とスタート方法について解説していきます。

1.陸上スタート

スタートの合図で陸上から入水する方式です。湘南で開かられる湘南オープンウォータースイミングは、この陸上スタート方式をとっています。

陸上スタート方式の場合、足が入水した時点で水の抵抗を受けるので普通に走ろうとしてもなかなか前に進むことができません。

地上から水上へウェーディングしているオープンウォータースイマー達

そこで登場する走り方が、ウェーディングという走り方です。この走り方は、ライフセーバーが水辺で溺れてしまった被救護人の救助の際にも用いられる走法で、より迅速に水辺を走ることができます。

またこのウェーディングは、泳げる水深に達した段階ですぐさま泳ぎに移行するためのドルフィンスルーというという飛び込み技術も同時に必要となります。

このラン&スイム方法については、当ページの入水技術で紹介します。

2.フローティングスタート

フローティングスタートは、泳ぎだすことができる水位がスタート地点となっており、スタートの合図の前に、立ち泳ぎで整列し待機します。

3.飛び込みスタート

固定されたポンツーンと言われる台から飛び込んでスタートする方式です。

海に浮くポンツーン

出典:トータルコンディショニング イアシスのブログ/オープンウォータースイミング 日本選手権大会 INお台場2017

このポンツーンには、競技者の番号が書かれており、競技者は自分の番号の列で待機しスタートの合図と同時に一斉に飛び込みます。この待機場所について、競泳のようなタイム順で真ん中というような形ではなく、主催者側が選出することになっています。

飛び込みについては、市民プールなどでは飛び込みが禁止されており練習ができないので、悩む方も多いかと思います。

飛び込み練習は、競泳用のプールなどスポーツセンターのような専門的な所であれば練習できますが、まずはOWS教室に参加することで練習は可能です。

この三通りの中でも1.陸上スタート 2.水中スタートが一般的と言われています。3.飛び込みスタートについては、一般参加ができないものが多く、一般参加可能な大会は基本1.2のスタート方法が取られます。

森本
森本
飛び込みとか、競泳経験者でも無い限り練習する機会ないですよね。市民プールやジムのプールは飛び込み禁止だし…

飛び込みに関しては、2018年には教育機関において、保健体育では飛び込みスタートは頭頸部外傷による障害事件が多く発生している状態を鑑み、原則禁止とする学習指導要領の案が文部科学省より発表されております。

以前は高校生については十分注意した上で行うというレベルでしたが、今後、部活動などの経験が無い限りは飛び込みスタートができない方が増えそうです。参考:Yahoo!ニュース/高校の水泳授業 飛び込みスタート禁止に

スタート時のやるべきこと

オープンウォータースイミングの競技映像を見てみるとわかりますが、スタート時は競技者と競技者の間隔がとても近く、ウェーディングやドルフィンスルーなどをするための十分なスペースがないことが多いです。

そうなると、そもそも泳ぎ出すことが困難だったり、なんとか泳ぎ始めることができたとしても故意でなくても殴られたり、蹴られたりという自体になってしまいます。

スタートしたらまず先に進むことよりも、場所を移動しいち早く自分のスペースを確保することが重要になってきます。

そのため、競技の参加回数も多いベテランは前へ、競技参加が初めて、あるいは回数が少ないという場合は後ろの方へ移動することがポイントになります。

そうすることで、競技者同士の体の接触が最小限に抑えられる為、泳いでいる最中に蹴られたり殴られるということから自分を守ることができます。

競技中は、当然水中ですが陸と違い呼吸もしづらい環境になるのでちょっとした衝撃によってパニックを誘発してしまうことにも繋がりやすくなります。

まずは自分の実力を見極め、立ち位置を決めましょう。

低水温要注意

以前の記事でも低体温についてご紹介しましたが、スタート時が実は気をつけなければいけないポイントです。

体温低下で震えているイメージ

プールと比べると、海水は調整ができない分極端に冷たいこともありえます。日本水泳連盟のオープンウォータースイミングのガイドラインでも18度を下回らないと大会は開催されるため、20度前後の海水下で泳ぐこともありえます。

18度というと、熱々サウナから出てきた時の水風呂の温度が17~18度くらいが多いので、あの冷たさを想像すれば海水の冷たさが想像できるかと思います。

入水した直後に冷たい!と感じるとそこかがパニックの引き金となり、不安感や孤独感などが増強し、パニックに陥ることが多いといいます。

いつもと違う環境で泳いでいるだけだという自己暗示がこういうときこそ重要になるようです。

低水温の対処方法

低水温であったとしても、冷たい!と感じるのも個人差があります。オープンウォータースイミングの主催者向けのガイドラインに従って大会を主催しているので基本的に市に至る程の危険な海水温の際は開催自体されません。

しかし、本人が冷たい!と感じることでパニックを誘発してしまいます。そのような状況を防ぐための道具なども用意する必要があります。

ラッシュガード

入水技術

森本
森本

ここは、ライフセービングでバリバリこの入水技術を駆使している榎本さんにコツを聞いてみました。

榎本
榎本

ライフセービングでは当たり前のように使われる技術ですが、素早く入水するという点はオープンウォータースイミングでも同様に大切ですね。

ウェーディング

出典:オープンウォータースイミング教本/46頁

走るときに受ける水の抵抗を減らす為に足を挙げて走ります。

腕を大きく振り、大股でなるべく遠くへ足を出すのがポイント。

この時、普段走るように足を縦に踏み出してしまうと水の抵抗をモロに受けてしまうので、ハードルを飛び越える時の様に横から前に足を持ってくると、水の抵抗を受けにくいです。

ドルフィンスルー

出典:オープンウォータースイミング教本/46頁

もう走れないけど、泳ぐにはまだ浅いという水深の時や、波の下を潜り抜ける時に使用します。

イルカの様に体で弧を描くことを意識しつつ手の先から入水したらすぐさましゃがみ姿勢になり地面を両足で強く蹴り水面に浮上します。

数回ドルフィンスルーが出来る場合には一連の動作がスムーズに行えるよう浮上するときの角度、高さを調整する必要があります。

波が高い時などは潜った後に、一度地面の砂を掴み、やり過ごすといったテクニックもあります。

波が高い場合は、波の根元、つまり波と水面の境目に飛び込むように意識しましょう。

まとめ

今回はオープンウォータースイミングのスタートダッシュ方法についてお話しました。

初心者であれば早くスタートを切るという判断より周りにぶつからないポジショニングのほうが大事になりますし、上級者であればいかに周りとスタートダッシュで引き離し泳ぎやすい場所をポジショニングすることが重要になってきます。

自分の現在の泳力と相談し、どのようにスタートダッシュをきるかを検討しましょう。