ライフセーバーはご存知でしょうか?
2020年8月現在、コロナの勢いは終息を見せません。そんな状況でも、夏本番ともなると海水浴場は人で賑わいます。このような状態だからこそ、各メディアからライフセーバーが現在注目されています。
ライフセーバーは通常海水浴場やプールなどの水辺に配備され、緊急事態に備えて海水浴場やプールを監視していますが、海水浴場やプールが開場していない場合ライフセーバーは通常配備されません。そんな状況で事故が発生してしまったらどうなるか容易に想像できると思います。
いつもはライフセーバーが見守っててくれるからこそ羽根を伸ばして海水浴を楽しめますが、今年はライフセーバーの配備されている場所が極端に少ないので、安全性を考えライフセーバーが配備されている所で海水浴を楽しみたい所です。
今回はそんな海での安全を守っているライフセーバーについて現役ライフセーバーの榎本さん監修のもと解説したいと思います。
ライフセーバーの仕事は海の監視だけではない
海で見かけるライフセーバーの正体は、日本ライフセービング協会の認定したライフセービング資格を持った方々です。
ライフセーバーといえば、”救助活動”が仕事というイメージがあるかもしれませんが、基本的には、”救助”が必要になってしまう状況を生まないというのが、一番重要な業務です。
とはいえ、実際に救助が必要になってしまう状況も発生することはあります。そこで別名リップカレントと呼ばれる離岸流や毒を持った危険生物など様々なリスクを把握しておく必要があります。リスクを熟知しているからこそ、緊急時も冷静に救助活動ができます。ライフセーバーは救助技術や応急手当の知識・技術など多岐に渡る知識が必要になります。
そんなライフセーバーの仕事は、海水浴場やプールの監視だけではありません。
日本水泳連盟と日本ライフセービング協会
具体的にどんな仕事かというと、日本水泳連盟が管轄している水泳競技の大会での監視業務です。
代表的なものが、オープンウォータースイミングです。オープンウォータースイミングは全国で見ると死者も出ている一歩間違えると命に関わる競技です。
そのため、救助技術を持つライフセーバーが選手達の近くで待機し、体調が悪そうな方がいないかチェックし、安全を守っています。
また大会を開催するにあたってライフセーバーを配備することが大会開催の条件にもなっています。
この決まりは、平成22年に発行された、オープンウォータースイミング(OWS)競技に関する安全対策ガイドラインで発表されました。
安全救護員と機材の確保
競技会の安全性の向上に安全救護体制の充実は欠かせない。安全救護員(医師、看護師、救急救命士、ライフセーバーなど)および機材の数は競技会に出場する競技者数により変動するが、重要なことは、溺者・傷病者を搬送する水上から救急車までの動線をしっかりと確保し、適材適所に人員および機材を配置することである。
引用:日本水泳連盟/オープンウォータースイミング(OWS)競技に関する安全対策ガイドライン
ライフセーバーは学生が多い
ライフセーバーは日本国内においては、ライフセーバーのみで生計を立ている方は少数のようです。本業というよりは副業、さらに言えばボランティアでライフセービングをしている方のほうが多い傾向にあるようです。
ライフセーバーを始める切っ掛け
大学からライフセーバーを始める切っ掛けとして、大学から新しいことを始めたいという気持ちの中でライフセーバーに興味を持つ方が多いようです。
またライフセービング活動の中には競技が存在します。競技を通してライフセービングを知り、ライフセーバーを志望するなどきっかけは様々。
競技でも数々のメダルを獲得しているトップアスリートでもあり、GUARDオリジナルブランド水着モデルをしていただいている、現役ライフセーバーの園田俊さんも学生時代にライフセーバーを始めています。
ライフセービング競技を見て、園田俊さんのようなトップアスリートに憧れてライフセーバーに憧れる方もいらっしゃいます。
2020年8月9日のフジテレビ番組【ジャンクスポーツ】でも取り上げられておりました。
出典:フジテレビ:ジャンクスポーツ/筋肉をとことんいじめ抜く!ウォーターアスリートたちの“美ボディ”の秘密
ライフセーバーがオフのとき
ライフセーバーは副業として、あるいはボランティアとして活動している方が多いと話をしましたが、普段はサラリーマンや公務員をやっている…ということではなく、ライフセーバーとしての活動がオフの時期はどのように活動をしているか気になりませんか?
ライフセーバーが一番忙しいのは、やはり海水浴場がオープンする時期です。とはいえ、日頃からトレーニングをやっていないとなるといざというときに動けなくなってしまいます。
普段、弊社GUARDで働いている現役ライフセーバーの榎本さんも出勤前に海岸でトレーニングを行っております。食事メニューからトレーニング方法も自分でメニューを考えて日々鍛錬に勤しんでおります。
ライフセーバーはオフのときこそ、コツコツと訓練を重ね、1年の内の夏場2ヶ月に成果を出せるよう残り10か月、日々鍛錬を積んでいます。
鍛錬の成果を証明するライフセービング競技
皆さん、こんな競技見たことありませんか?
ライフセービング競技は、日頃の鍛錬の成果をスポーツという形で証明できる場です。
このビーチフラッグスも含め、ライフセービングの競技は実践で通用できるような動きを取り入れており、その動きができるかどうかを評価する為に競技種目も細分化されています。
競技リスト
- アイアンマンレース
- タップリンリレーレース
- ビーチフラッグス
- ビーチスプリント
- ラン・スイム・ラン
- サーフスキーレース
- レスキューボード・レスキューレース
- ビーチリレー
- 2km ビーチラン
- パドルドードレース
- 50m/100m マネキンレスキューレース
- 100mレスキューメドレー
- 200m自由形障害物レース
- 4×50mマネキンレスキューリレー
- 4×50mレスキューチューブリレー
- 4×50m自由形障害物リレー
- ライフセービングボール投げ
- アセスメントテスト
競技の名前を見るだけでもわかるかもしれませんが、競技名にレスキューチューブやマネキン、パドルなどライフセーバーが救助活動で利用するアイテムの名前が出てきています。
ライフセービングが浸透し始めて間もない頃は、まだ身体を使った競技がメインだった時代もあるようですが、現在のライフセービング競技では、機材を利用した競技もあります。
これらのアイテムを利用した救助活動の模擬訓練として競技が成り立っています。競技のNO.1はレスキューのNO.1とも呼ばれ、救助活動を意識した訓練を競技を通して行う事で実践でも迅速に動けるようになるということです。
競技ができた切っ掛けというのも、もともとは切磋琢磨できるライバルを作り自分を磨くことというのがライフセーバー(当時はライフガードと呼ばれていた)の共通認識だったようです。ちなみに現在ライフセービングを管轄している日本ライフセービング協会が発足する前からライフセービング競技はありました。
記録に残る大会としては、70年代にライフガード大会が日本国内で開かれた初の大会のようです。
まとめ
今回はライフセーバーの基本的な役割、どんな方がライフセーバーを目指すのか、ライフセービング競技などについてお話しました。
ライフセーバーの仕事のイメージは救助かもしれませんが、本質的には事故が起こらないことが最も望ましく、ライフセーバーの最も重要な仕事は事故を未然に防ぐことです。
鍛え上げた肉体も、磨き抜かれた技術も何も使わないことがライフセーバーとして一番望ましい事なのかもしれませんね。